新年あけましておめでとうございます。
コエビスでございます。今年もよろしくお願いします。
若戎の酒造りも年末年始は、仕込み作業はひと休み。
毎朝、白い蒸気が上がっていた甑も、しばしの間、お正月休みです。
でも、ひっそりと静まり返った蔵の中では、
フツ、フツ、フツ、と酵母の醗酵の唄声が聞こえてきます。
年が明けると伊賀青山もますます冷え込みが厳しくなり、
酒造りのとっては、絶好のコンディション。
昔からこの季節に合わせて、大吟醸の仕込みを行ってきました。
つまり、お正月休みに酒母室で醗酵している「越年酒母」は、大吟醸の酒母。
本命中の本命のお酒の「モト(※西偏に元) 」なわけです。
9年前から、この「越年酒母」に、新しい仲間が加わりました。
それが、この『立春朝搾り』の酒母です。
お正月休みの若戎の酒蔵には、
この大本命の「越年酒母」を交代で見守る2人の蔵守りがいます。
溝畑利行(製造課長)と貴田稔之(品質管理課長)、“2人のトシユキ”です。
シーンと静まり返った広い蔵の中で、
年明けの搾りのときを待っている醪、
そして、この大本命の「越年酒母」と、たったひとりで向き合い、
1本1本、状貌を伺い、香りと味を確かめ、
比重やアルコール分、酸度、アミノ酸度などを分析し、
コンマ何度の微妙な温度操作を行います。
蔵の束の間の休息の間も、“2人のトシユキ”は、
お客様にさらに喜んでいただける美味しいお酒を醸すために、
思いを重ね、そして、思いをつないでいきます。
1月5日には、お正月休みを終えた、製造部の仲間が戻り、仕込み作業が再開します。
最初に甑で蒸すのは、立春朝搾りの麹米です。
立春朝搾りの仕込みは、
1月8日、添仕込み。1月10日、仲仕込み、そして、1月11日、留仕込み。
この仕込みの日に照準を合わせて、
最高の立春搾りの「越年酒母」を育てます。